
プロジェクトレポート
味を追求したコオロギ食で食糧危機を救い、健康を守る。
【 株式会社BugMo 】
2022年06月17日
今回は、株式会社BugMoの松居さんにお話を伺ってまいりました。
本日はよろしくお願いします。
まず初めに、現在取り組まれている事業についてお伺いしてもよろしいでしょうか?
よろしくお願いします。
弊社は、世界的な人口増加による食糧不足、タンパク質不足に対して、コオロギを中心とした昆虫食の流通・普及を目指している会社です。
創業のきっかけは、カンボジアやアフリカで現在の畜産システムによって引き起こされた環境問題、栄養問題を目の当たりにしたことにありました。
既存の畜産システムよりも環境負荷が低く、栄養価の高いコオロギの養殖システムを構築することで、タンパク質の地産地消・国産国消を目指しています。

ありがとうございます。もう少し詳しくお伺いしたいのですが、具体的にはどのような事業内容になりますでしょうか?
弊社のビジネスは、コオロギの効率的な養殖システムを中核に、コオロギ原料の供給やコオロギ食品の自社ブランド展開などを行っております。
また、養殖の際に出る糞などを農作物の肥料にしたり、規格外のコオロギは水産用の養殖餌にしたりと、全てを無駄にしない生産システムにすることで、タンパク質不足を解消しようとしております。
最近は昆虫食に取り組む企業も増えてきましたが、貴社はどの様な特徴がありますか?
「人間に合う味の追求」を目的として作っている点が弊社の最大の特徴です。
この業界は各社目的や哲学が異なっており、生理学を研究テーマにしていれば遺伝子改変・編集に立脚し、エンタメとして捉えていれば昆虫の姿をそのままに食べることに拘ります。
みなさん各々のアイデアを掲げ、いい意味で棲み分けが出来ていると考えております。
弊社は「タンパク質の確保」と「味の追求」に拘っています。
掛け合わせによってより早く、よりたくさん生産できるようにしていたり、姿に拘らず最もおいしい味を実現したりと、弊社の目的に向かうことが独自のポジショニングを築くことになっていると思います。
欧米では「タンパク質」というワードに拘っていますが、日本だけ何故かニッチな人のみが集まっている印象があり、ここもチャンスだと考えています。

海外への進出なども既にされているのでしょうか?
現状はしていません。ただ、生産システム自体を海外に販売していきたいと考えています。
海外展開においても「国産国消・地産地消」には拘り続けたいと考えています。
今後はどのような展開を考えられていますか?
近年、エビやカニの価格が上昇していますが、コオロギは一般的にそれらと風味が似ているという特徴があるので、この領域のリプレイスが図れるのではないかと考えています。
そのためには、「コオロギらしい風味」をより言語化していく必要があると考えています。
この言語化を進めていくことによって、人が食べた時に「美味しい」と納得できるものが作れると考えており、外食産業とコオロギ食のコラボを行いながら、定着を目指していきたいと考えています。
またそれと並行して、イスラム圏でのハラールフードとしての展開も考えています。
コオロギ食の定着には味以外にもう一つ、コスト面での課題が残っています。
牛・豚・鶏は人類が長い年月をかけて、食に最適なかけ合わせを実現してきましたが、歴史の浅いコオロギではまだ雑多な味になってしまっています。
現在は、生産効率を上げることでコストを下げることを狙っており、植物工場の歴史にヒントがあると考え、参考にしています。

最後の、松居さんの実現したいビジョンを教えてください。
世界の食糧危機を救いたいと考えています。
誰もが等しく健康を守れる世界を目指すものの、単にたんぱく質の補給になってしまうのではなく、きちんと美味しいものを消費者に提供するという大前提を疎かにしないようにしたいです。
本日は、コオロギを中心とした昆虫食について松居さんにお話を伺いました。
貴重なお話ありがとうございました。