
プロジェクトレポート
和食に合うきくらげで、農業への参入障壁をなくす
【 日本きくらげ株式会社 】
2022年06月21日
今回は、これまでの日本産きくらげの常識を覆す取り組みについて、日本きくらげの代表取締役の山田さんにインタビューしました。
貴社はどのような事業に取り組まれていますか?
弊社は日本きくらげを日本の食材として国内・海外に広げていくために、完全無農薬の丁寧に栽培された日本産きくらげの製造を行っています。
日本きくらげに携わろうと思われたそのきっかけは何でしたか?
きっかけは富士山の麓できくらげを生産されていた方との出会いでした。
そこで食べた国産のきくらげに感動し、国産きくらげを商品化して、もっと世の中に広めたいと思いました。
そこから中国産キクラゲと日本産きくらげの違いについて論文を読むなど自ら研究しました。
きくらげは、健康生活に期待ができる食物繊維や、免疫力を高める作用が確認されているビタミンDの含有量が多く、医食同源素材として大きなポテンシャルを持つ食材です。
国産の美味しいきくらげを商品化し、日本でも親しまれる食材にしていきたいと考えています。

日本きくらげと従来イメージされてきたきくらげは何が違うのですか?
きくらげといえば中国産がシェアのほとんどを占めています。
弊社の日本きくらげは中国産とはDNAが異なります。肉厚で食味も良く、栄養価も高いのが特徴です。特に、ビタミンDに関しては日本きくらげの乾燥1gに、成人男性が1日に必要な量が含まれます。
日本きくらげは、サイズ、味、食感、栄養価が違います。
中国キクラゲは形が小さく、鍋にそのまま入れて調理をしていますが、日本きくらげは包丁で切って調理するほど大きなサイズです。
なぜ、「日本料理に合うきくらげ」を作ろうと思ったのでしょうか?
従来は様々な企業が助成金等を使ってきくらげ栽培をしてきましたが、その殆どが中華料理をターゲットに栽培していたため、中国産の安価なきくらげと価格競争で負け、撤退していきました。
私たちの日本きくらげは、日本料理に合う物を突き詰めてブランディングしました。
きくらげの美味しさは90%が水分で決まるため、日本全国のファームで味が少しずつ違います。
そのため地産地消を大切に、それぞれの地の水で栽培しています。
天ぷらや刺身など、その土地の料理にもよく合います。
貴社の作られるきくらげの特徴について教えてください。
中華料理で使われる、グニュっとしたきくらげではなく、非常に肉厚で濃厚で食べ応えがあるものです。
我々の日本きくらげは、見た目、味、食感の全てが日本料理に合うようにこだわっています。

日本の農業人口も減っている中で、貴社の役割について教えてください。
日本の、特に農協の考え方が時代にも現状にも即していない、と思っています。
私たちは、農業への参入障壁をなくしていきたいと考えています。
弊社は、きくらげ生産のボランタリーチェーン展開をおこなっており、そこでは新規事業として農業をお考えの方向けに、安価でノウハウも学べる農業チャレンジプラン(ベーシックプラン)等をご用意しております。
コンテナ栽培とIoT技術を活用し、1年を通して「日本きくらげ」の提供を目指します。
貴社は海外進出も進められていると伺いました。現在の状況をお聞かせください。
テストマーケティングで中国にきくらげをテスト販売しています。
中国国内ではきくらげは不老不死に最も近い食材として食べない日がない程親しまれています。
高所得者向けですが、完全無農薬・品質が良いことを評価されており、中国人も日本のきくらげの可能性を感じているという手応えがあります。
今後市場でどのように拡大しようと考えられていますか?
現在24ヶ所のファームがあるのですが、2年以内には100ヶ所展開を目指しています。
日本の地方では移住をしたとしても仕事がないという問題があるため、 住宅に栽培コンテナを設置したものを販売をして、仕事付き別荘の提供を行いたいです。
また、ウクライナ戦争が終結したら、現地にきくらげ栽培方法を持っていき、復興支援をしたいと考えています。
戦争によって農業大国であるウクライナの農地に地雷などの戦争被害産物が残ってしまうことが予想できるため、コンテナによるきくらげ栽培は、その問題を解決する一手になるのではないかと考えています。
日本及び世界にて、日本きくらげによる農業の可能性を広げていきたいです。
(インタビュアー)
本日は、日本料理に合うきくらげについて、新たな気づきと可能性を知ることができました。
貴重なお話ありがとうございました!